会計コラム 税効果会計に用いる実効税率と繰延税金資産

今回は、決算対策の一環として、税率変更の影響についてコメントします。

平成23年12月2日に、改正税法が公布され、法人税率の低減等が確定しました。これにより、平成24年4月1日以降、中小法人以外の法人税率は25.5%に引き下げられますが、その一方で、復興法人特別税により、税額が10%上乗せされ、実質的に28.05%の法人税率になります。なお、復興法人特別税については、住民税には影響しません。


では次に、税効果会計で用いる税率について確認しましょう。

従来、実効税率は次のように算定してきました。

たとえば、東京都の場合、外形標準課税法人であれば、と計算されていたのです。

これに対し、上記のような税制改正を受け、平成24年4月1日以降3年間の実効税率は次のように算定することになります。

たとえば、東京都の場合、外形標準課税法人であれば、と算定されるわけです。
もちろん、平成27年度以降は、もとの算式に戻りますので、たとえば、東京都の場合、外形標準課税法人であれば、
と算定されます。

次に、確認していただきたいのは、

◇ 実際の税金の計算は、その年度(当期)の税率を用いる
◇ 税効果の計算は、一時差異の解消が見込まれる期の税率を用いる

ことです。
ですから、2012年3月期であれば、実際の申告書の作成にあたっては、今回の税率の改正は考慮しないのに対し、税効果会計の処理にあたっては、税率の改正は考慮することになります。しかもこの際に注意すべきは、「『一時差異の解消が見込まれる期』はいつか」という点です。上記のように、将来の実効税率は、復興特別法人税がある期間とその後によって異なるからです。これにより、一つ一つの一時差異を精査し、その解消が見込まれる期を見極め、その上で用いる実効税率を決めるというマメな作業が必要になったのです。

公認会計士・税理士 清松 敏雄

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会計コラム 決算早期化のポイント

 今回は、決算の早期化についてとりあげます。

 最近のわが国の開示制度の改訂は、基本的には2つの方向性を持ってなされてきました。

 ひとつは、開示情報の精緻化・正確化です。そのために、IFRSとのコンバージェンスも相まって、次々と新しい会計基準が作られたり古い会計基準が改訂されたりしてきました。10年少々さかのぼれば税効果会計やキャッシュ・フロー計算書があり、その後も、退職給付会計、減損会計、資産除去債務、過年度遡及など、リストアップするだけでこのメルマガが終わってしまいそうな量の新会計基準が作られたのです。また、内部統制監査の導入も、開示情報の精緻化・正確化のためのものと言ってよいでしょう。

 そしてもうひとつの方向性は、早期化です。こちらは、ASBJのような会計基準設定主体が求めたというのではなく、証券取引所や市場参加者が求めてきたものです。また、経営者の方々が、経営管理のために決算の早期化を必要とされることも多々あります。

 このように、最近の動向の2つの方向性は、精緻化・正確化を要求する一方で、早期化を求めていますが、本来はこの2つは相反するもののはずです。早くしようと思えば、正確さが犠牲になることも多いでしょうし、逆に、正確さを追求すれば時間がかかってしまうことも多いからです。

 とはいえ、実務的にはなんとかこの2つを両方とも追求することが求められており、正確さを犠牲にせずに早期化する努力が多くの企業でなされています。そのために多くの企業で重要になっているのが、開示までのプロセスの確認と、決算・開示資料の作成内容・担当の整理です。

 まず、開示までのプロセスの確認というのは、大きく分ければ単純で、という流れの中で、時間がかかっているのは何かを改めて確認する作業です。ここで重要なのは、「時間がかっている作業の『前のプロセス』が真の原因ではないか?」と考えることです。たとえば、③の連結決算に時間がかかっている場合、実は、連結決算そのものに時間がかかっているのではなく、単体の決算に関係する情報(債権債務の情報や取引の情報)の収集に問題があるのではないかと考えるわけです。決算は、個別であれ連結であれ、情報が整っていれば会計処理そのものにはあまり時間がかかりません。むしろ、集めた内容の確認作業や不備に対応する作業に時間が費やされていることの方が圧倒的に多いのです。「○○に時間がかかっている。よって、○○の担当者は怠慢だ」と考えずに、むしろ、前のプロセスとの連携にこそ改善の余地がある可能性が多々あるということです。

 このような前のプロセスとの連携の改善にあたっては、決算・開示資料の作成内容・担当の整理が重要です。どんな方でも、自身が行っている業務以外にも精通するというのは難しいことです。ですから、「後のプロセスでどんな作業をしていて、具体的にどのような情報が必要なのか」を把握するのは誰にとっても難解なはずです。そこで、決算・開示資料の作成内容や担当者を表などを用いて整理し、お互いにどのような情報を必要としているのかについて知識を少しでも共有しておくことが重要になるのです。

 今まですでに決算の早期化を進められてきた企業の方々は、1日早めるのにどれほどの工夫が必要かというのを痛感されているはずです。上記の内容は、早期化のための工夫の一例にすぎませんが、少しでも決算時の休日出勤や残業が少なくなるのに役立てていただければ幸いです。

公認会計士・税理士 清松 敏雄

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会計コラム IFRS到来 第5回:IFRS導入への大きな変化

今回のメルマガでは、HOYA(株)の平成23年3月期の連結包括利益計算書について、日本基準とIFRSの数字を見比べてみようと思っていました。(*1)

(*1)8月開催のIFRSセミナーで解説します。ご興味のある方は、セミナーにご参加ください。

しかし、新聞紙上等で報道がなされているとおり、IFRSの導入に向けた動きに大きな変化が生じています。そこで、今回は急遽内容を変更し、最近におけるIFRS導入の動向について述べていきます。

IFRSをアドプションするかどうかの意思決定は、アメリカが2011年に行う予定であったため、わが国では2012年に行う予定でした。つまり、アメリカの動向が、わが国の意思決定に大きな影響を及ぼすというわけです。

そこで、まずはアメリカにおける動向を整理し、その上でわが国の動向を整理しましょう。

1.アメリカにおける動向

アメリカでは、会計基準を作っているのはFASBという民間団体です。このFASBは、IFRSの作成主体であるIASBとともに、米国基準とIFRSのコンバージェンスのプロジェクトを行っています。その中でも、特に重要な内容として、金融商品、収益認識、リース会計の3つがありますが、これらに関するコンバージェンスのプロジェクトの終了を、当初予定していた2011年6月から2011年末まで延期することを発表しています。

また、アメリカにおいて、FASBが作成した会計基準に従うことを要求しているのはSEC(米国証券取引委員会)です。このSECが、2011年5月26日に、ある文書(スタッフ・ペーパー)を公表しています。そこでは、アドプションよりもコンバージェンスに傾いた様子がうかがえます。つまり、IFRSを米国基準としてそっくりそのまま採用(アドプション)するのではなく、IFRSを米国基準に取り込んでいくというコンバージェンスに近い内容が提案されています。また、移行期間としても、5年~7年という長い期間が例示されています。さらに、SECのシャピロ委員長は、2011年6月21日において、IFRSの採用に慎重な姿勢を表明するとともに、移行期間についても、少なくとも5、6年はかかるだろうと指摘しています。

つまり、アメリカでは、全体的にIFRSについて非常に慎重な姿勢になっているわけです。

2.わが国における動向

わが国では、HOYA(株)や住友商事(株)をはじめ、IFRSに積極的に取り組んでいる企業があることも事実です。

その一方で、各企業や業界団体等からは、昨年よりIFRS導入についてさまざまな慎重意見が表明されています。また、最近では、2011年5月25日において、新日本製鐵(株)、トヨタ自動車(株)をはじめとしたわが国を代表する企業より、「要望書」が提出されています。この「要望書」の中では、震災からの復興コストも考慮し、十分な準備期間を設けることが要望されています(ただし、IFRSの適用そのものに正面から反対しているわけではなく、適用の是非等について、早急に、かつ、十分に議論することも要望されています)。同様に、連合(日本労働組合総連合会)「2012年度連合の重点政策」(2011年6月)では、「上場会社の連結財務諸表に対してIFRS(国際財務報告基準・国際会計基準)を強制適用することを当面見送る方針を早期に明確にする」と述べられています。

このような動きを受け、2011年6月21日には、金融担当大臣より、少なくとも2015年3月期についてのIFRSの強制適用は考えておらず、仮に強制適用する場合であっても、その決定から5~7年程度の十分な準備期間の設定を行う旨が表明されています。また、日本経団連(日本経済団体連合会)も、2011年6月29日に、上記「要望書」と同様の趣旨の意見を公表しています。

そして、日本経済新聞において大きく取り上げられていましたが、2011年6月30日の企業会計審議会(金融庁)においてIFRSに関する議論がなされています。企業会計審議会は、2009年に「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」を作成した審議会であり、この中間報告が、現在、世間で一般にいわれている「2012年に判断」「2015年から2016年から採用?」という内容の出所になっているものです。つまり、わが国の方向性は、この審議会の見解が握っていると言っても過言ではないでしょう。

さて、2011年6月30日の企業会計審議会では、慎重派と推進派のそれぞれから意見が出されているようですが、全体的に見れば、準備期間は5年から7年程度(よって、適用するのは、2017年~2019年ごろ)になりそうな情勢です。すべての上場企業に適用するのかどうかといった点も、まだまだ議論が続いています。いずれにしろ、まずは適用時期が延期になりそうですので、準備もじっくりとできることになりそうです。

公認会計士・税理士 清松 敏雄

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会計コラム 平成23年度税制改正(案)のポイント

今回は平成23年度税制改正(案)のうち、特に法人税についてとりあげます
(以下では、一般事業会社の株式会社を念頭において述べていきます)。 

なお、平成23年度の税制改正については、大震災の影響で現時点において確定しておらず、さらには下記の税制改正を1年間遅らせる(平成24年度税制改正にしてしまう)というウワサまであります。実際の申告書の作成にあたっては、十分注意してください。

平成23年度税制改正(案)のうち、主な項目は次のとおりです。
表のうち、○印がついている法人が関連する法人です。なお、事業年度末における資本金が1億円以下であれば中小法人、1億円超であれば大法人に該当します。

以下、順番に確認していきましょう。

1.法人税率

現行の法人税率は30%(中小法人の所得金額年800万円以下は18%)とされていますが、平成23年度以降(平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度)の法人税率は25.5%(中小法人の所得金額年800万円以下は15%)とされています。
なお、地方税への影響を考慮しますと、実効税率は約5%低下することになります(東京都の場合でいえば、実効税率は40.69%から35.64%に低下します)。なお、本記事作成時点(2011年5月25日現在)において、法人税率の改正は先送りされる可能性が高い状況ですので注意が必要です。

2.定率法の償却率

現在では、減価償却にあたって用いる定率法の償却率は、「定額法の償却率×2.5」とされています(250%定率法)が、平成23年4月1日以後に取得する減価償却資産については、定率法の償却率が「定額法の償却率×2.0」とされます(200%定率法)。

なお、3月決算ではない会社の場合、一事業年度の中で新規に取得した減価償却資産について250%定率法と200%定率法を使い分けるのは不便です。そこで、3月決算ではない会社については、平成23年4月1日後に最初に終了する事業年度までは現行の250%定率法を用いることができます。

その一方で、3月決算であるか否かにかかわらず、上記のように取得時期によって償却限度額が異なると管理がしづらい(事務処理が煩雑である)という場合には、平成19年4月1日~平成23年3月31日に取得し、250%定率法を用いてきた減価償却資産について、200%定率法に変更することが認められます。この際、償却率が下がることから、計算上、耐用年数が延びてしまうことになりますが、それを回避するため、平成23年度に係る申告書の提出期限までに税務署に届け出を行うことにより、耐用年数が延びずに済む措置を受けることができます。

3.欠損金の控除限度額

大法人については、繰越欠損金の控除が、欠損金を控除する前の所得金額の80%までとされます。なお、この制限は、欠損金がいつ発生したものかに関わらず適用されます(たとえば、平成23年度の申告の際に、平成21年に発生した欠損金を控除しようとする場合も適用されます。平成23年度に生じた欠損金から適用するというわけではありません)。

4.欠損金の繰越期間

「3」とも関係しますが、欠損金の繰越期間が、現行の7年から9年に延長されます。なお、繰越期間の延長は、大法人だけでなく中小法人にも適用されます。なお、年数の数え方ですが、平成16年度税制改正で繰越期間を5年から7年に延長した際の取り扱いと同様であり、具体的には、平成20年度に生じた欠損金からは、9年間の繰り越しの対象となります。

5.貸倒引当金

大法人については、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金であるか、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金であるかを問わず、貸倒引当金の繰入額が損金算入できなくなります。ただし、平成23年度からまったくできなくするというのは唐突すぎますので、現行法における損金算入限度額に対して、平成23年度は3/4、平成24年度は2/4、平成25年度は1/4までは損金算入することができます。

6.寄付金

寄付金は、①国または地方公共団体等、②特定公益増進法人等、③一般という3つの区分に分けて損金算入限度額が定められていますが、このうち、③一般寄付金の損金算入限度額を現行の1/2に引き下げ、その分だけ②の損金算入限度額を拡大されます。

7.棚卸資産

棚卸資産の評価を低価法によって行っている場合に、切放し低価法を用いることができなくなります。

8.中間納付

法人税の中間納付については、現行では①前事業年度の確定法人税額の6/12を納付する方法と、②仮決算による方法が認められていますが、平成23年度より、仮決算による中間申告税額が前事業年度の確定法人税額の6/12を超える場合には、②の方法を用いることができなくなります。

公認会計士・税理士 清松 敏雄

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これからの会計システム 第4回:管理会計システム構築のポイント

弊社では、お客様の会計システムの再構築をサポートさせて頂いていますが、再構築のテーマとして多いのは、法制度への対応と管理会計の充実です。

いままでの会計制度では、企業の現状を正確に把握する為に行われており、含み損益・簿外負債といった情報や部門・事業(製品)セグメントの情報などは開示する必要がありませんでした。しかし、IFRSにおいては、それらの開示が求められます。

セグメント情報に関しては、いままで社内管理に重きのある管理会計の情報でしたが、前出の通りIFRSでは社外への開示情報になります。しかし、本来、管理会計の情報は、企業経営の観点から現状把握による収益向上と効率化への指針となる情報です。従って、これからのIFRSへの対応有無にかかわらず、管理会計を充実させることは重要なテーマとなります。

それでは、実際に管理レベルを向上させる為には、いったい何をポイントに取り組むべきなのでしょうか?

管理会計は、大きく2つのテーマに分けられます。

1.財務状況をとらえ現在の経営状態の把握(現状の分析)

2.経営戦略など意思決定を行うための経営管理(将来のための分析・予測)

部門別対比、過去実績対比、予算対比など、さまざまな対比を通して現在の経営状態を把握することは、財務データでの分析で可能となります。このような場合の管理会計の構築は、会計パッケージの標準装備機能に依存します。

(会計パッケージの選定時に、予め標準機能を確認することがポイントです。)

それに対し、経営戦略の立案など将来を予測し意思決定を行う経営管理は、業種・業態により異なる上、企業各社の文化やノウハウが詰まっており会計パッケージが標準で提供する機能だけですべてを網羅する事は難しい部分もあります。

実際に管理会計を構築・運用している中で次のような問題に直面する企業は少なくありません。

・仕訳データの粒度を可能な限り細かくすれば、多次元的な分析は可能となる。

・その反面、仕訳データ量は膨大化、現場では仕訳入力の負荷が増大する。

・更にレポート作成プロセスの複雑化となり、日常の経理業務が回らなくなる。

そこで、基幹システムから明細レベルの仕訳データの連携と、肥大化した仕訳データを効率よく活用するためのレポート作成機能の構築がポイントとなります。

明細データを連携する場合、会計システム側で考慮しておくことは、プロジェクトや製品など付与するセグメント情報を整理・検討しておくことです。

また、データの活用と充実したレポート作成に、BIツールを活用する事も有効です。ただし、汎用的多機能である為、使いこなすのが難しい場合があります。この問題に対しては半定型的なレポートを簡単に作成できるようなレポート作成ツールが有効だと考えます。

いずれにせよ、「管理会計」をテーマに会計システムの再構築を考える場合、その目的と成果のイメージを明確にしておくことが大切です。また、単に要件を満たす機能の提供だけで無く、その設定に関する相談窓口など、システム構築から運用サポートに至るまでのトータルサーポートを享受できるベンダーを選択することは重要なポイントだと思います。

NESCO SUPER SOLUTION 磯辺 和人

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会計コラム IFRS到来 第4回:有形固定資産とIFRSs

IFRSs 導入で気になるジャンルといえば・・・・・・
どうやら上位に入るのは有形固定資産や退職給付会計、そして収益認識のようです。これらは、多くの上場企業(そしてそのグループ企業)に関連するために、話題になっているのでしょう。そして、その中でも特に注目を集めているのが有形固定資産に関する点で、減価償却方法や耐用年数などを変更しなくてはならないのかという内容です。
このうち、まず減価償却方法について確認すると、IFRSsでは資産の将来の経済的便益の消費パターンを予測し、それを反映する方法で減価償却を行うこととされています。その方法として、一部で「定額法でないといけないのでは?」という噂(?)もありましたが、現在では定率法も認められると解されています。日本企業の場合、ほとんどの有形固定資産は定率法で減価償却を行っていますから、定率法が想定している経済的便益の消費パターン(取得当初は大きく、次第に小さくなっていくという消費パターン)が妥当であれば、従来どおり定率法を用いてよいことになります。
次に、耐用年数については少々問題です。IFRSsでは、使用予定の期間をもって耐用年数とします。ですから、従来のように、税法上の耐用年数をそのまま使うわけにはいきません。具体的には、過去の使用実績(経験)に基づいて、使用予定の期間を設定することになります。

最後に、残存価額についても、IFRSsでは耐用年数到来時に処分した場合の受取額(処分にかかると予想されるコストはマイナスします)をもって残存価額とします。なお、残存価額については、実務的にはゼロまたは備忘価額とすることが多くあります。
このように、有形固定資産(特に減価償却関係)は、わが国では税務の取り扱いに大きく影響を受けていますが、IFRSsのもとでは、税務の取り扱いをそのまま用いるのには大きなハードルがあるのです。会計上の計算と税務上の計算を分けて管理するのは大変でしょうから、システムでの対応を中心に、いまのうちに準備を進めておく必要があるでしょう。

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会計コラム IFRS到来 第3回:会計上の変更と誤謬の訂正

 平成23年4月1日以後開始する事業年度以降、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」が適用になります。この会計基準は、会計方針を変更した場合と表示方法を変更した場合、それから、誤謬の訂正の場合について、過年度にさかのぼって財務諸表を修正することとしている点が特徴です。  
  

たとえば、会計方針の変更のケースで、x1年方法Aを採用しており、x2年方法Bに変更し、その後は継続して方法Bを使うとしましょう。

この場合、従来のルールでは、 

  x1年・・・・・方法Aで財務諸表を作成
  x2年・・・・・方法Bで財務諸表を作成、また、方法Aを採用していた場合との
         利益の差額を注記

とされていました。

このため、方法Bのもとで2年間の比較を行うことを通じ、将来(たとえばx3年)の予測に役立てるということはできませんでした。

そこで、方法Bのもとで2年間の比較ができるように、過年度の財務諸表を修正することにしたのが今回の会計基準です。

つまり、

  x1年・・・・・方法Bで財務諸表を作成し直し
  x2年・・・・・方法Bで財務諸表を作成

とするわけです。

  
 問題は、過年度にさかのぼって作り直すという作業の負担です。

普通に考えれば、明らかに煩雑な作業であることは明らかでしょう。過去の決算の一部をやり直さなくてはならないからです。このような負担を少しでも和らげるためには、会計方針や表示方法の変更を突然行うのではなく、1年以上前から計画的に準備しておき、できればシステム上でデータをとれるようにしておくことが重要になります。

 また、誤謬の訂正については、間違えないように十分気をつけるのは当然として、子会社への指導も重要です。

公認会計士 清松 敏雄

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これからの会計システム 第3回:過年度遡及修正の対応

 2009年12月に企業会計基準委員会(ASBJ)より会計コンバージェンスに基づく会計方針の変更、表示方法の変更及び誤謬の訂正が行われた場合の過去の財務諸表の遡及処理に関する取扱いや、会計上の見積りの変更に関する取扱いに関する会計基準等が公表されました。一般的に言われている「過年度遡及修正」のことです。

参考:ASBJ企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」等の公表

  この過年度遡及修正は、手順の煩雑さを考えると比較的重たい制度改正になりますが、システムの取り組みとしても重要な修正となります。

  過去の会計年度に遡って、処理を行う訳ですから当然ながら過去の確定した残高表・元帳を保持した上で、遡及仕訳の受け入れが必要となり、遡及仕訳発生年度から当年度に至る全ての会計年度で【遡及前】・【遡及後】・【遡及のみ】の仕訳・残高を把握する為には、常に複数の元帳を管理する必要性に迫られます。

 つまり複数の元帳を管理する形となりますので、IFRS対応で度々紹介される『複数元帳』対応に非常に近い仕組みが必要です。IFRSへの組み替えとなれば、更に色々仕掛けも必要ですが、対応の根本は殆ど一緒です。 

もちろん、SuperStream/400としても、平成23年事業年度の開始前に対応版のご提供に向け準備しているところです。

 システムでの対応としては、修正(組替)仕訳を発生年度毎に管理して、複数の残高を持てば対応出来るのですが、運用する側は大変です。
 当社が営業活動中にお客様から経理システムで出力した各種帳票をExcelで組み替えて運用されているお話をよく聞きます。
 システムから自動的に出力される帳票は、『複数元帳』に対応したシステムを採用する事で自動的に再作成可能ですが、Excelで組み替えている場合、労力を掛けて再度組み替え作業を行う必要が発生しますので、大変な手間が掛かる事は容易に想像が出来ます。

 複数の元帳を管理する必要性は、業務手順のうちシステムから切り離したオフラインによる組み替えを排除する良い機会と考えられます。   
 また、IFRS対応もさることながら、業務改善の観点からもオフラインでの組み替え等が不要で、仕訳の計上から財務報告書、更には管理会計資料の作成まで一貫してシステムで実現する様々な機能・帳票をご提供していく予定です。

NESCO SUPER SOLUTION 磯辺 和人

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会計コラム IFRS到来 第2回:包括利益は何を括っているのか?

 昨今、包括利益という用語をよく聞くようになりました。「包括利益の表示に関する会計基準」が公表され、平成23年3月31日以後終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から包括利益を開示することが求められるようになったことが大きな原因でしょう。ご多分に漏れず、このような開示が求められるようになったのも、IFRSとのコンバージェンスの一環です。アメリカをはじめとして、海外では包括利益の開示はずいぶん前から行われているのです。

 では、包括利益とはいったいどのようなものなのでしょうか。「包括」というくらいですから、いろいろなものが含まれているはずです。そこで、今回は包括利益の中身を整理してみましょう。

 まず、包括利益は、「ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分をいう。当該企業の純資産に対する持分所有者には、当該企業の株主のほか当該企業の発行する新株予約権の所有者が含まれ、連結財務諸表においては、当該企業の子会社の少数株主も含まれる。」とされています。簡単にいえば、「純資産の変動額のうち、株主等との取引以外による変動額」というわけです。

 そして、包括利益のうち、当期純利益(損失)以外の部分を「その他の包括利益」といいます。つまり、図でいえば、赤色の部分が包括利益、そして、ピンクの部分がその他の包括利益です。結局、包括利益とは、上記の定義にもあるように、株主との取引(黄色の部分)以外によって生じた純資産の変動を一括りにしたものというわけです。

 

 また、簡単な数値で示すと次の設例のようになります。

 

なお、その他の包括利益の内訳には、その他有価証券評価差額金の増減、繰延ヘッジ損益の増減、為替換算調整勘定の増減等がありますが、このような内訳も開示することが求められています。

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これからの会計システム 第2回:包括利益表示適用の対応

 2010年6月に企業会計基準委員会(ASBJ)より会計コンバージェンスに基づく財務諸表の包括利益表示については連結財務諸表だけを対象とし、単体の財務諸表についての判断を一時的に留保するとの方針が示されました。

参考:ASBJ企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」及び関連する他の改正会計基準の公表

 各種基準の適用については、実際の業務への混乱を避ける為にも慎重に議論し時には内容の微調整・適用時期の変更も不可避である事は十分理解はしていますが、システムを提供する立場で考えると直前になってからの方針変更は大変なインパクトです。

 今回の単体財務諸表への包括利益表示適用の延期についても、既にシステムへの反映を終了させ出荷準備を行っていたタイミングでしたが、適用判断保留によって包括利益表示対応に係わる作業全般に影響が出る結果となりました。勿論 全てが無駄な作業にはなりませんが、リリース時期が変わると適用バージョンの問題や今後発生する適用内容の対応方法に関する微調整など、さまざまな検討が必要になります。

 それら検討の結果、2010年11月には、単体財務諸表の包括利益表示適用に対応する制度改正モジュールをご提供することにしました。

「なぜ今、ご提供するのか?」

 それは、ご利用企業様やご検討中の企業様に安心して頂けることとご利用企業様に対しては、制度対応に係わるトータル時間・コスト抑制の効果が期待出来ると判断したからです。

 これからもシステムのご提供タイミングが難しい場面に直面することがあるかもしれませんが、会計システムにとって「安心」「信頼」を裏切らないことがもっとも重要であると考えています。

NESCO SUPER SOLUTION 磯辺 和人

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