会計コラム 「消費税の増税と会計システム」

今回のテーマは消費税です。といっても、消費税についてはさまざまな留意点があり、すでに今年度から適用されている95%ルールについては、メルマガ第9号(会計コラム 2012/5/31掲載)で記載しています。そこで今回は、『消費税の増税と会計システム』という視点でコメント致します。
まず、このたびの消費税及び地方消費税は、次のような改正になりました。

これにより、たとえば販売管理システムにおける価格設定や代金の請求について、すでにお困りかもしれません。請求書を作成するときに、5%の消費税等を加えるのか、8%の消費税等を加えるのか、システムを改修するほか、担当者に確認作業等の注意を呼びかける手配をしておくなど、事前の配慮が必要です。

同様に、注意しなければならないのが会計システムです。多くの会計システムでは、伝票作成時の入力は、「税込」であることが多いはずです。
たとえば、単純な例であるが、1,050円の事務用品の請求書・領収書を見て、わざわざ「事務用品費1,000円、仮払消費税50円」と入力することはないでしょう。
普通は、「事務用品費1,050円」と入力すると、自動的に「事務用品費1,000円、仮払消費税50円」にシステム内で分けてくれるはずです。
もちろん、このような自動処理の背景には、勘定科目の設定として、「事務用品費は、5%の消費税等がかかっていて、消費税率が5%であるとして税抜きの金額に直す」ということになっているわけです。
そうすると、当然ですが、税率が8%になった場合、その設定を変更する必要があります。

問題は、その設定変更を「誰がいつ行うか」です。
単純な話ですが、3月の取引をすべて3月中に入力できるのであれば、4月1日に設定を変えれば良いのでしょう。
しかし、通常はそうではないはずです。
特に、決算整理がからむ場合はなおさらです。
拠点が複数あって、本部経理だけでなく各拠点において伝票入力まで行う体制の場合は、「いつから設定が変わるのか」を十分に周知していないと
「税込みでは合っているが、税抜き金額にしてみたら間違っている」
という事態が起きてしまいます。
それから、これに関連してもう一つ注意しなければならないのが経過措置です。
今回、消費税等の解説の附則で、さまざまな経過措置が定められています。
主なものを挙げると、
◆ 旅客運賃等
◆ 電気、ガス、水道料金等
◆ 請負に係る契約
◆ 資産の貸付けに係る契約
◆ サービス(役務)提供の予約に係る契約
◆ 延払基準を適用する長期割賦販売等
などがあります。(これ以外にもありますが....)
これらの経過措置は、簡単に言えば、
「単純に平成26年4月1日や平成27年10月1日で区切るのではありません」
というルールです。

たとえば、平成26年4月1日以後であっても
「あ、これは5%だ」
という取引がちらほらあるということです。
この場合、「1つの勘定科目について、1つの消費税の設定ではダメ」ということになり、取引に応じて変更しなければならないということになります。
システムの設定は単純です。
消費税の扱いを選択できるようにしておけば良いというだけだからです。
しかし、実際のオペレーションは単純ではりません。
取引を見て、消費税をどうするか判断して、伝票を作成しなければならないからです。
もちろん、このような例はすでにいくつもあります。
単純な例を挙げると 「(複利)厚生費」という勘定科目は、多くの場合課税仕入れですが、「めでたく結婚した従業員にご祝儀をあげた」という場合、課税仕入れではありません。現実に、補助科目ごとに課税仕入れかどうかの設定を変えている企業も多くありますが、当然、「どの補助科目を使うか」はシステムではなく人間が判断することです。

このように、「人間が判断すること」が一時的に増加することになるわけですから、やはり事前にマニュアル化して準備しておく必要があります。
なんだか面倒な話が多くなってしまいましたが、時間的にはまだ余裕がありますから、ぜひ丁寧な準備をしておくことをお勧めします。

公認会計士・税理士 清松 敏雄

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